腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「地球へ…」

文庫版を手に入れたので、いまさら読み返してみた。いや、これ、映画も見ているし、原作もかつて読んでいたはずなんだけど、なにしろ昔。。。映画はね、大体覚えているんですが、原作は……、はい、わりとはじめて読むような気分になりました。歳をとって理解力が追いついたのもあるかもしれませんが、うん、けっこう、ちゃんとした話でした。ところどころ石ノ森 章太郎を感じさせるのも、なんか懐かしいよね。。。

こどものときは、単純に「ソルジャー・ブルー、かっこいい(超人ロックっぽく)」としか思っていなかったような気がするんだが、いま読むと、もうすこしまわりにも目が向きますね。キースとか、トォニィとかのほうが、どちらかというと共感できました。ジョニーは、なんか、子供だよな(笑) だからこそできることがあるんだけれども、わりと行動が衝動的な人なので、まわりにいたら疲れるな(笑) まあ、そういう人が物語を展開させるんでしょうけど。
よくある、機械対人間、超能力者対人間、なお話ですが、うーん、いまだと、もうちょっとちがう感じになりそうです(笑) 機械、まあ、人工知能ってことだと思うんだけど、なんだろうな、逆に、そんなにバカじゃないよな、むしろ、人間よりうまくやるんじゃね? 感情だって、人間より理解できてるかもよ? みたいな……結局、プログラムするのは人間なので、結果がまちがっていたとしたら、設定した人間にまちがいがあったんでしょ、という話ですけども。。。機械に罪はないよな……だって、機械だもん。
ミュウと人類の争いに関しては、資源が足りないってわけじゃなさそうだし、人間もミュウもうまく共存すりゃいいじゃん、生物が生き残るには多様性が大事よ、としか思えなかったんですが(笑) それをいいだしたら話がはじまらんものね。仕方ないか。
原作のほうが、映画より残酷な描写が多いんだけど、それはまあ、当然といえば当然かな、と思いつつ、でも、マツカの死に方とかけっこうエグかったです。最近、テレビアニメにしていたような気がするのですが、どうなんだろうな、原作に忠実に作っていたのかな、とちょっと気になりました。でだしは見ていたんだけど、途中でやめてしまったんだよなー……。

オチはね、若干悲劇的ですけれども、きれいに終わっているなぁ、と読後感も悪くありませんでした。トォニィたちナスカの子9人が一番進化した存在として特殊な終わり方していたが……もはや神か? みたいな。
私はキャラのなかでは、トォニィが一番共感できたのでひいき目にして読んでいたんですが、でも、あの、ジョミーに対する盲目的な服従には若干?でした。自分を作ってくれた父親的な存在だとしてもさ、どこかで反抗したくならんのかー? と。
ジョミーも、なんでかトォニィにつらくあたるしな。。。長男にキビしい父親みたいなもんか、と最初は流していましたが、だんだん、トォニィのほうが精神年齢追い越しているみたいになってきて、ジョミーに尽くしている姿が、なんかもう、「えー……?」みたいな(笑)
「一発、殴り返したれよ、トォニィ」
と何回か思った私です。
キースとマツカとか、ジョミーとトォニィとか、なんだろうな、竹宮作品て、ときどきDVっぽい関係、でてくるよな(笑) 気をゆるしているからこそ、苛めるYO☆ みたいな、そして相手はそれを無制限にゆるす、みたいな、なぁ。。。そういうの、私はあまり好きではないので、「うーん」と思いながら読んでましたが、それが竹宮さんの中の、萌えなんですかね(笑) 「風と木の唄」もそんな節あったもんな。。。

そうそう、今回、読んでいてところどころ思ったのが、「“ぼく地球”って、“地球へ”だったんだ」っていう、ね。いや、気のせいとかじゃなく、すごい、デジャブなシーンがいっぱいありましたよ。キースが紫苑でフィシスが木蓮にみえるシーンが、けっこうありました。捕まっているキースをガラス越しにフィシスが見舞うところとか、なぁ……そうか、“ぼく地球”の地球に対する思い入れって、あまりピンとこなかったんだけど、そこから来ていたのか、となんか納得。青い地球のイメージに木蓮が心酔していたのってそれかぁ、っていうね。
いや、こういうのはなんか、面白いです。作品を、読んで、それが長い時間かかって消化されて、別の形でまた実を結ぶみたいな……自分でも気が付いていないで、思わぬ形で出てしまうこともあるだろうし。題名に地球をいれているあたり、もしかしたら自覚的なのかもしれないですが。。。

「ぼく地球」つながりで、続編の「ぼく月」、完結したみたいなんですが、こっちはね、……消化するのが大変です、自分的に、イロンナ意味で……最終巻、読んでからあらためて考えよう、と思っていたら、さらに続編の連載がはじまるとかネットで知って、
「…………………………まじか」
となりました。
ヤメドキガワカラナイ……。
一度完結させた話には手をつけないほうがカッコイイのか、それとも、望まれる限りは描くのがプロなのか、…………むずかしいところですね。