腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「君の名は。」

世間に遅れること甚だしく、ようやく私も「君の名は。」デビューです。地上波でやる(絶対やるでしょ?)まで待とうと思ってたんだけど、半額デーがあったので思い切って借りてみた。

いや、よかったですよ?
いままで見た新海誠作品のなかでは、一番見易かったことはまちがいないです。キャラクターもさっぱり明るいし、イキイキしているし、なんつっても、ちょっと笑えるシーンもいれていてくれたしね、うん、一度見る分には、ありかも、という感じ。
映画なのに歌入りのOPががっつりあって「テレビアニメみたい」と驚かされましたが、そこも、「ああ……そういうことか」とあとになってみれば、ヒントだったのね、という仕掛けにはなっていました。ただ、この世界について白紙の状態で冒頭にあれを見せられても何も頭に残らなかったので、見返す人のためではあるよね。オチまで見てからもう一度見て、ようやく「ああ〜……。」という……とりあえず、作画はあいかわらず美しく、声も、神木くん、よかったですね。上白石萌音が、瀧くんを演じるところは「……。」という感じもないではなかったが、ま、そんなもんかな。男女逆転というとどうしても「転校生」を思い出しますが、そのへんもつかみとして、普通に見ました。

朝起きて他人のからだにはいってたら、もっとパニくるよな、とか、知らない人ばかりの学校に登校するかな、とか、バイトとか無理、とかは言い出すとアレですけど……だって、扱いとしては記憶喪失じゃん。。。いくら同じ年頃ったってフリをするのさえ無理だろ、というのも、仕方ない、ギャグアニメ的な感じで目をつぶりました。。。ただ、いれかわりの法則というか、そのへんのルールがすごく曖昧だったり、実はこうでした、と後だしジャンケンされるのが「え?」みたいなのはありましたかね。病気じゃなければ、ふつう夢と現実は区別がつくし、スマホに連絡事項を書くくらいなら「なんですぐに相手に連絡とらないの? そして会わないの?」と思うが、それができない理由がありました、というのは、後半の種明かしになっていて……でもさ、そのへんちょっと、都合よすぎるよな、というのは、話が進むほどに思いました。ナニなら覚えていて、ナニは思い出せないの? 頻繁にいれかわっていた時に、そんな瞬時に名前とか忘れてたっけ? という。。。そして、手やノートに書いてあることは残せるのに、スマホのデータは消えちゃうって、どういう理屈なの、とか。。。なんだろうな、背景とか、写真を通り越すほどリアルに描いておきながら、このお話の細部の曖昧さはどういう。。。すごくバランスが悪い。。。
一応、こちらとしてはですね、話の筋を飲みこもうとして、会話とか、場面とか、違和感のあるところに、心の付箋を貼って見ているわけです。一応、こういうことかな、と先読みをしながら、キャラの心情を読もうとある程度の努力をして見ているんだが、そういうのは無駄なんだな、と思わされることの多いお話ではありましたよね。
唐突に場面が切り替わったり、わざとそのときに描いておくべきことを描かないでいたり、それであとになって、「ほら、こういうことだったんだよ、驚いたでしょ?」と言われても、「…………上手くない……_| ̄|○」という、イヤな感じのしてやられ感(笑)
途中のあっと驚く展開は、たしかに驚いたんだけどさ、でも、いままでのいろいろ腑に落ちない感じは、すべてこのための工作なのか、となると、印象が変わってきますよね。そこで驚かせるためだけに、話とか心情とかの自然な流れをギクシャクさせるの、もったいなくないか? 前半の話、なんだったの? となりました。なんつか、ところどころあざといんだよな……。これを仕掛けているやつが好きになれない、という気持ちに(笑)
せめて、もうすこしルールを、見ているこっちと共有して欲しいんです。じゃないと、共感できない……。瀧君のあまりの忘れっぽさに、こっちが驚くの(笑) それで、最後の出会いを演出されても、「うん、まあ、よかったね」としか思えない自分。。。
手の平に、名前じゃくてメッセージが描かれているところとか、ふつうに感動できるんだけど、それがぶつっと途切れてしまうのでした残念。雪の降るビル群とか、本当にきれいなんだけどなぁー。もったいないなー。

一応、あいだを空けて二回見た、のですが。
まあ、二度目の方が、見方を心得たので、腹も立ちませんでした(笑) とにかく、細いことは気にしたらだめなの。神木隆之介と美麗な映像を堪能すればいいの。。。
初回はけっこうプリプリしていた私だが、結局、新海さんが書きたいのは最後の大人になったふたりのすれ違いと出会いで、それまでは全部前フリなんだよね、というところに落ち着いた次第です。もう、それでいいです。
私にとっては、RADWINPSの素晴らしい曲が生まれた映画でした、というだけで、ありがたい存在。
使われ方は、若干「……。」とならないではないが、まあ、うん、いいよ。映画館で見たわけではないので、べつに損はしていないよ、と思っていたら、早速地上波で放送されました。
……そんなものだよねー。