腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「アフターアース」

劇場で見る気なかったのに見ちゃった第二弾。

いや、予告を見れば内容の80パーセントは理解できちゃう作品みたいな予感がしたからなんですが、まあ、そのとおりでした。スミス親子のいちゃらぶがこれでもかと詰め込まれたある意味、いさぎよい作品です。

でもな、これ、シャマランなのな。
……それを知ってものすごく複雑な気持ちになりながら見に行ったのな。
自分の中で、シャマランは特別。多少ダメでも世間に酷評されても浮かれて画面にいっぱい映っちゃってもゲタを履かせてあげたい監督なのな。「レディ・イン・ザ・ウォーター」でちょっと首をかしげ、「エアペンダー」でめいっぱいファン力を試されたが、それでも、それでも〜〜〜!
「がんばってくれよーシャマラン、すっかりカルトな監督扱いじゃないかよぅ〜。シックス・センスの栄光はどこへ? いや、私が好きなのはサインとかアンブレイカブルだが。ヴィレッジだって面白かったよ! ハプニングもぎり、イケるよ! まだダイジョウブだよ! がんばれるよ! でも、もう一回エアベンダーとかくらったら、さすがにかばいきれないよ!」
と期待と怖れのないまぜになった感じで鑑賞。

……いや、うん、よかった。
すくなくとも「エアベンダー」よりは。

そりゃ、ところどころつっこみどころはありますヨ。地球の環境を破壊、他の星に人類移住、その星の先住民と交戦、置き土産の人類駆逐獣とはいまだ死闘を繰り広げ中、絶滅の危機と思いきや、ただひとり、悟りの心で対峙できる人類最強戦士のオレ、……と、反抗期の息子との和解や如何に!
って。。。
そっから?!
そっからの話がメイン?!
そのまえになんか、すごい壮大な叙事詩があったみたいなんですけど、単行本20冊分くらいを私、トバしてしまったみたいなんですけど、ダイジョブですか? これ外伝ですか?
という驚きがまず。
てか、ついこのあいだ移住してきたみたいなのにもう摩天楼ができあがっているんですが、そのわりにペントハウスにいきなり人類駆逐獣がまぎれてきて人を喰い殺したりしますが、人類最強戦士がしょっぼい宇宙船で宇宙天気的な事故で遭難したりしますが、たまたまワープした先が捨ててきた地球だったりしますが、なぜか生物が人間に敵対的に進化してて、そのわりに、おっきな鳥が身を捨てて主人公を助けたりしますが(幸福な王子か)、そういったもろもろは、気にしない方がいいんですよね……?(悠久の時間が流れるインド的に)。

いやー、もう、とにかくね、父子のあいだのオチのラブを見せるためだけのすべての設定、すべてのお膳立てという感じなんだが、これが許されるってのはアレか、やっぱ「96時間」か。「96時間」がアリなんだったら、これも許されるんじゃね? と、いろんな欲望を満たすためだけに特化した枠の映画とかが作られるようになるのかこれから……まるで深夜アニメのように(いや、「96時間」はおもしろいけど)。
それでもいままでは一応、映画なんだし、と体裁を繕っていた気がするんですが、そういう余裕さえもなくなったのか? と思われるような、うん、ものすごく豪華な学芸会って感じは否めませんでした。
でも、でもな!
なんの必然性もないところでものすごくびっくりさせたり、宇宙船のなかをふっとばされるウィル・スミスがむやみにおかしかったり、情緒不安定すぎてお父さんにたびたび「ハウス!」ってされる犬ころっぷりがかわいいジェイデンくん……とかでもう、許してあげて、とシャマランファンの私は思う次第です。
とにかくさ、「エアベンダー」で失敗しちゃったからさ! リハビリが必要なんだ、いや、リハビリ期間長杉っておもわなくもないが、でも、そのうちきっと、またサインみたいな作品を作ってくれるって、信じてる……。

というわけで、シャマランスキー的にはいろんなことを考えさせる作品なんですが、ふつーは、どうなのかしら? やっぱ、ただのB級SFって扱い?
もう、SFにしたかった理由もよくわからないんだよなー。飛行機が落ちてジャングルで遭難、とかじゃダメなんかしら。

とりあえず、初ジェイデン・スミスには「ベスト・キッド」をすすめておきます。それか、まだ「幸福のちから」のほうがおもしろいかもしれない(笑)