腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「青の炎」

貴志裕介映像化作品のなかでは一番わかりやすかったかも、の「青の炎」。蜷川です、ニノです。これ原作読んでいないんだが、映画で十分満足したよ。
DVの養父を殺害して完全犯罪を狙う息子の話なんですが、うん、それだけじゃなくて、こう、青春映画っぽいのがよかったです。ニノ、あってたよ!
いままで見てきた貴志作品みたいなある種超越的な犯罪者じゃなくて、すこし頭はいいけど、ギリ普通の高校生が主人公だったのもよかった。いろんなタイミングとか、話の行き違いとか、すこしのズレで、破滅的な結末になってしまうんだけど、その合間に、美しい風景とか、友達との静かな会話の時間とかがあって、それがなんか救いになるんですよね。
すごく悪い人が登場するわけじゃない。でも、悲劇が起こる、というのは悲しいことだけどあることなので、うん、あとは、自分がそのあとをどう引き受けるか、みたいなことだと思いました。
ニノはほんと、いいなー。永遠の青年だなー。
そして私、蜷川さんて映画みるの初めてなんだけど、よかったすよ。主人公が暮らしているあのガレージの部屋とか、すごくよかった。やっぱ部屋って、そのひとの内面を表しているというか、そういうところに手を抜かないって映画では大事だよねー。
犯罪の良い悪い、バレるバレないというところは置いておいて、主人公が、自分の家族を守ろうとした、その気持ちの尊さみたいなのが、ちゃんと、友達によって救われているところがいいです。もちろん、やりかたとしてはまちがっているのだろうが、それが彼なりのやり方だったということです。あのコンビニ強盗のカレもかわいそうだったけどな。そんなに悪い奴じゃないのに、頭がちょっと悪かっただけなのになぁ(笑) まあ、計画的に養父を殺すような奴を脅迫したら、自分もターゲットになるだろうって想像できなきゃいけないけどね。
唯一「ん?」と思ったのは母親かな。あんたさー、自分が捲いた種なのに、それを刈ろうとした息子をそんなあっさり警察に売って……と(-_-~)な気分になりました。

あの、海辺をニノが自転車で疾走するシーン、何回も出てくるんだが、あれが、あまり心情を表に出さない主人公の内面を表しているようで、すごく印象的でした。オチは、悲しいが、スッキリする気分にもなるんだな。
うむ、それでよし、となる。

いい映画だったなー、と素直に思いました。