腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「きみはいい子」

高良健吾の残念なハンサムぶりがすばらしいこの一作。。。って、内容は至極真面目です。真面目に現代日本にある各種問題を扱っています。
高良健吾演じる小学校の教師の話、認知症のお年寄りの話、尾野真千子演じる母親の虐待の連鎖の話、とみっつの話が、交互にからみあって進んで行きます、が……高良健吾尾野真千子の話には接点ないなぁ……と思っていたら、尾野真千子のママ友、池脇千鶴と小学校の特殊学級の教師が夫婦でした。まあ、これはべつに気付かなくても問題ないようなことなんですけど。
宣伝のときは、尾野真千子がこどもを虐待するシーンが話題になっていて、「ふーん」と思っていたんだが、実際に見てみると、そんなに陰惨な感じはしませんでした。てか、母親がこちらに背中をみせて娘を叩いているシーンがあるんだが、あきらかに叩いてないよね、とわかるので、まあ、こんなもんか、っていう(笑) なんつの、母親がこどもを怒鳴りつけるときって、もっとこう、常軌を逸した感じになりますけど、そこまではできなかったのか、監督がそこまでやらせる必要はないと思ったのか、まあ、そんな感じです。声がさ……けっこう、理性を残しているんだよな……。
神田さんと呼ばれている男の子の義理の父親のほうが、そういう意味ではピリッとさせるところがありました。 
まあ、こっちもリアルな虐待の場面を見たいわけではないので、それはそれでいいバランスなのかもしれないです。マジにやられたら、こころが痛すぎる話だしな……。
そういうわけで、全体に、あまり深くまではつっこまないというか、うーん、保健室のシーンとかも、提示したい問題点のことはわかるんだが、ああいう風にハッキリ対立することさえない、もっとグレーで曖昧な感じに実際は疲弊させられていくのじゃないのーと思うと、ちょっと問題を単純化しすぎているんじゃないかという気もしないでもないんですが……だってさ、基本、話の通じる人たちばかりじゃないですか?(笑) 学校の先生たちも、大体においてまともな人ばかりだし、モンスターペアレント的なクレームも、まあ、典型的っていえば典型的な……。実際の日常のほうが、もっとはるかにカオスですよね(笑) 認知症ぎみのお年寄りとかもでてくるけど、家のなかがゴミだらけってこともなく、むしろ、きちんとした生活をしている。。。そうね、全体的に、普通(笑) これが、日本の平均的な生活になりました、というお話なのかな。。。
どのパートも、最後は希望のもてる終わり方をしているので、鑑賞後感もそんなに悪くない。。。へんにお涙頂戴にしないところはよかったと思います。
みっつの話の中で、私が一番気にかかったのは神田さんの話なんだが、それは、家の中が見えないというか、母親の姿が見えないからなんだよな……看護師だというので、ひとりしかいない子供にごはんも食べさせられないほど困窮しているとは思えないし、いわゆるネグレクト&同居している男性からの虐待、という、なんか、みっつのケースのなかで神田さんが一番命の危険に近い感じがしたので非常にざわざわするんだけど、これという解決の決め手のない感じが、うーん……「家の人に抱きしめてもらってね」で改善する話なのかこれは? 先生ひとりの力じゃ荷が重すぎるし、いろんな機関と連携してあたらないとマズイんじゃないの、ともやもやさせられました。
もひとつハラハラさせられたのは、尾野真千子とママ友池脇千鶴の関係、かな……天然なのか作為なのか、ちょいちょい池脇千鶴が地雷を踏む(ように私にはみえる)のですけど、そのたびに、いらっとした尾野真千子がもっと闇を深くするんじゃないかとひやっとしました。まあ、オチで一応、その理由はあかされるが、でもさ、同じ境遇にいたからといってわかりあえるっていうのも安直だよな、というか逆に、近すぎて憎まれることだってあるんで、あのへんは、すごく難しいところだよな、と思います。理解を示して手を差し伸べた人間が一番攻撃されることだってありますから。

までも、全体にはよくできた話でした。原作があるらしいので、そっちも読んでみようかな、と思った。
しかしほんと、高良健吾ってハンサムだよなぁ〜。私初高良健吾って「ノルウェイの森」なんだけど、ちょっとしかでてこないのに目が釘付けになりましたもの。エンディングでソッコウ名前を確認させるって、なかなかですよね(笑)
このところ宣伝でもよく見かけます。