腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

『009 RE:CYBORG』

セルアニメで3D……どうなの」
とさんざん悩んだ挙句、どうせ映画館でみるならと結局3Dを選択しました。
いや、正解でした。
もともと、ディズニーやピクサーのフルCGアニメが苦手なせいもありますが、セルアニメ3D……わるくありません。情報量が少なくなっているせいか見やすいし、静止しているときもそれほど違和感がない。こう、よくできたフィギュアを眺めているみたいな、独特の美しさがありました。
ただ、背景と合わせた時には、どうしても、すこしちぐはぐというか、のっぺりした感じになることはありましたね。あと、普通に歩いたり、階段をのぼったりしているとき、微妙な違和感があったりはしましたが……。
でもきっと、これから作られていけばもっとよくなるんじゃないかなーみたいな。期待できます。日本のアニメ独特の表現とかできるかも。。。
というか、ジョー……美しすぎるし。
ずっと眺めていたいし。
キャラデザが単に好みだったのかもしれませんが、それにしても、神山さんのキャラクターの動かし方って、すごく色気があるというか、魅力があります。戦闘シーンもかっこよかったよ。この作品の見せどころと言えば、やっぱ加速装置だと思いますが、そうね、いささかマトリックスぽいというか、ハリウッド風な感は否めないけれども、それでもいろんな見せ方をして工夫しているよなーと。
とくに、ジョーが空から地面に着地するところと、その後の、核爆発から逃げのびるシーン、あそこはワクワクしましたねー。あそこだけ何回も見たいなー。
とにかく、動きとか映像の美しさは保証します。映画館でみて損はしないと思う。

……のですが。
ストーリー……_| ̄|○。

話がさ、もう、難しすぎるんですよ。いや、展開としては、特別なところもない、限られている人たちが戦っているだけの、単純な話なんですけど、ひとたび、「どうして戦っているの?」とか、「敵は結局、なんなの?」とか、基本的なところに疑問をもってしまうと、途端に話が難しくなってしまうんです。
結局、よくわからない。
まあ、押井作品とか、甲殻シリーズとかを見ている人なら、「ああ、押井的世界観のモザイクですか」で終わるのかもしれませんが、それにしてもオチが。
あまりにも投げっ放しすぎないか?
とちょっと唖然。
飛躍の仕方、すごすぎ。
え? 何? 夢オチ? それともこれから大霊界がはじまっちゃうの? 2001年宇宙の旅? 
といろんな可能性がぐるぐる頭をめぐり……そのままエンディング。

東のエデン」をみたときも、「テレビシリーズで期待させておいてのこの、劇場版のオチの失速感、ハンパないな」と思わせてくれた神山監督ですが、いやー、なんだろう、これが作家性というやつなのかな!

映像が萌えーだし楽しませてもらったからべつに全然それでかまわないんですけど、逆に、こんな小難しい話にしないで、もっと単純なよくある話にしてしまえばよかったのに、と思いましたよ。
アバター」みたときに思ったけど、あれなんか、本当、話の筋道だけでいったら、いままでハリウッド映画で何百回みたかわからないような単純な話です。西部劇だもん。でも、まだ3Dとかを見慣れていない人に対してはあれで正解なんだと思いました。正直、出だしのころとか、映像を理解するのに興味の大部分をもっていかれてしまうので、話とか会話なんて頭にはいってこないんですよ。
ある程度、あの世界観とか映像に慣れたころに、すこし話を展開させはじめる、そして、話の筋道はもう、だれにでもわかる黄金のパターンなので、余計な雑音とかストレスなしに、あの世界を楽しめるんですよね。
アトラクションみたいなもんだけど、そういう目的なんだからそれでよし。そのへんのさじ加減がキャメロンはほんと絶妙。

なので、009も、そういう風に割り切ってくれたらよかったのにな、とは思いました。まあ、私はもう、途中からくわしい背景とか、状況とかを理解するのは放棄したので、結局ジョーを見ていただけだけど(笑)
それでも、ジェットとのいさかいの理由とかたまげたよ。日米間の軋轢が個人の友情にひびをいれるって、なに?(笑) 専守防衛が理由で絶縁しちゃう友達とか、いるの?(笑) その理由、マクロすぎない? もっとこう、「あいつ、いっつもリーダーづらしててなんかオレ、気にイラネーんだよな!」とか、「万年高校生がフランス女といちゃつきやがって、ムカつく!」とか、みたいな(笑)
そんなささいなことじゃ、だめなんですか。
あの理屈……共感しずらい。

そう、全体的に共感しずらい。なんか、もっとこう、日常の風景とかすこし笑える場面とか、いれてくれてもよかったんじゃないのかなぁ……。いくら、日本中のみなさまがよく知っていらっしゃる9人だとしてもですよ、それぞれの人となりがわかるような、ちょっとしたエピソードがあったってよかったよね。立場と役目と配置、それだけかよ、みたいな。かと思えば、突然ジョーとフランソワーズの濡れ場がはいったりしてびっくりします。あくまで、そこはあくまでおこさまのためのヒーロー感を残しておいてくれてもよかったんじゃ……こう、なんてゆーの、よく知っていた子役が、そのイメージから脱皮しようとアダルト路線の作品に出ているのを見てしまった、みたいな、微妙な気まずさを感じた(笑)
いや、昔のね、たしか劇場版とかでも、ジョーって犯罪者で、そこから生き延びて機械の体になりました、みたいなちょっとダークな展開はありましたけど、それでも、全体にこころもちがピュアというか、いまありがちな退廃とか虚無を感じなかったのは、やっぱ時代なのかなぁ……。
大体、なんでジョーだけ記憶を消されて永遠の高校生を演じているのかよくわからない。学生服を着せたかっただけなんじゃないの?(笑) いや、学生服は素敵ですよ。フィギュアがあったら欲しいくらいだけど、もうちょっと、話の筋道に関係しているのかと思ってた……。

いや……、まあ、もしかしたら、私が右から左に聞き流していたえんえんつづくセリフのなかで説明されていたのかもわかりません。はい。ちゃんと聞いていなかったわたしがわるいです。

途中、突然中だるみして、おいおい、となったりもしましたが、うん、まあ、DVDでみるときはさくっとトバせばいいことだし。ええ、観ますよまた、DVD出たら(笑)

つづきが出たらまた、映画館にだって見に行っただろうけど、あのオチじゃ……次作は期待できないのかな。

というか、だれかあのオチ、説明してください_| ̄|○