腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

悪の教典 小説

前季のアニメ、「新世界より」がなかなかに面白くてですね、「これは、原作読んでみるべきかしら?」と図書館に行ったら、貴志裕介は「悪の教典 上」だけがあったのでとりあえず貸りて読んでみた。

うっはー、こえぇ。

でも、まあ、読んでいるあいだは面白かったです。
これ、ミステリの分類がされているみたいなんだが、どちらかというとサイコホラーですよね? 私、ミステリが苦手でホラーがことのほか好きなので、「なんだー、はやくゆってくれよー」とウキウキと。ウキウキと上巻を読み終えて、さっそく下巻もリクエストして読んだのですが、そうねー、最後はちょっと失速してしまいました。
まあ、ひとつには、映画化されているために、テレビCMでさんざん殺戮シーンを見てしまっていたので、どこかの時点であの展開がくるんだよな、とあらかじめわかってしまっていたのがあり、それともうひとつは、そうねー……、ハスミンにレクター博士ほどの興味をもてなかった。。。
主人公? の蓮実は、たしかにキョーレツなキャラではあるんですけど、でも、それほど意外でもないというか、頭のまわり方や残酷さはたしかにすごいんだけど、でも、それがなかったら、結局この話って、「あいつ、気にいらないから排除」を繰り返しているだけだもんな、っていう。。。
学校で殺戮が繰り広げられるあたりは、「アナザー」とか「バトロワ」みたいなゲームっぽい面白さもないことはないんだけど、でも、逆にいえば、ゲームっぽすぎていまいち臨場感がわかない。
なんですかね、これしか読んでないのであれですけど、貴志さんは、ちゃんとしすぎているというか、「こんな異常な状況になるのを納得させるために、周到に伏線をはっておかなきゃ」とばかりに、なんでこうなるの? という質問を封殺するための説明みたいなのをあらかじめすごくしていて、それがちょっと、準備されすぎっていうか、読んでいるこっちは、「はあ、そうですか。それじゃ、仕方ないですね」とむりくり納得というか、観光バスにのって旅行させられているみたいな、そんな感じ。最後の殺戮のシーンのために、すべてがお膳立てされてましたっていうのが、うーん、ちょっとつまらないんですよね。
そして、ハスミン、「平気で人を殺す人って、怖いよね?」というためだけの存在みたいな人なんですけど(笑) 人間って、そんなに、簡単かなぁ? となんか、腑におちない。共感する力が少なくて、頭がよかったら、人を殺しても平気なのか? そんなかぁ? っていう感じが。本当に共感する気持ちがないのなら、行動原理だって、普通と全然ちがったりするんじゃないの? なんで殺意だけは普通の人と同じように持ってるの? という、ねー……。
どうも、貴志さんの本を読んでいると、大量に人を殺す人は特別な人、というとらえ方されているみたいなんですけど、実際は、普通の人が、特殊な環境下におかれてやっちゃうんじゃないのかなーと思ったり。そういう点では「DETH NOTE」とかのほうが、理解しやすかったかな。たしかに、月を普通の人、と言ってしまうのはちょっとアレですが、なんだろう、ノートを拾う、という特殊なきっかけがあって、そこから、だんだんある種の才能に目覚めるというか、まあ、もともとあった素質が開花しているのかもしれませんけどでも、月はギリ、普通の人の感性を持ち合わせてると思えるんですけど。
最近、ちょい流行りなのかピカレスクロマン、とかこの本も銘打たれていたけど、うーん、私、大抵こういう悪漢ものだと悪い人を応援しちゃうんですが、ハスミンにはどうにも共感できなかったなぁ。かといって、キライ、というほどでもないので、中途半端な気持ちです。
あれかな。
やっぱ笑いかな(笑)

月やルルーシュは笑わせてくれるもんな。ちらっと、「こいつに殺されるならしょうがないか」と思わせてくれるところがやっぱミソなのかもしれません。

よくある米映画のB級サイコホラーものを楽しむような、気楽な感じで読めばよかったのかもしれないですが、気楽な厚さでもなかったので、オチに期待しすぎたかも。
しかし、映画でみるとまたイメージも変わるかもしれないので、映画、みてみようかな、とは思いました。
伊藤英明、私の中では長いこと「夜叉のひと」だったんですが、なんかこのまえ「A-STAGIO」みたら、思っていたよりおもしろいひとみたいですね。興味がわきました。