「スプライス」

これ、CUBEを作った監督らしくって、えー、やはりホラーなんですが、ホラー……っていうか、なんていうか、これ、ホラーなのかなぁ。。。
ジャンルとしてはSFホラー？　かしら。遺伝子操作で生まれた人間のような人間じゃない生き物。それを科学者夫婦が育成する話なんですけど、まあ、それだけ聞いてももう、展開も結末もわかりますよね。自分たちが作り上げた、あるいは発見した違法なものを、世間に隠して育てて、最初はいいんだけど、そのうち手に負えなくなって、始末しようとして逆に反撃されるっていう、フランケンシュタインの系譜のアレです。欲望にかられて一線を踏み越えると怖いことになるよ、という教訓なんだろうがいやしかし……ストーリーとしては、ほんと、よくある話。「ザ・フライ」とか、みんなそうなんだが、、、なんだろうなー。このスプライス、いままでのそれ系によくある、怖いけど悲しい話、というよりもう、ただひたすら気持ちわるい、という、そこが突出している(笑)
フランケンだって、ザ・フライだって、みているうちにモンスターのほうに感情移入したりするものなんだが、この作品にでてくるドレンというモンスターにはね、ほんと、感情移入しにくいんです。姿が！　いや、かなり人間に近いし、成長してくるとかわいい服を着て化粧したりして、猫をかわいがったりして、かわいさ要素満載にしてくるんだけど、そのひとつひとつにイラッとくるという、アレなんなのかなぁ！　私だけか？　私だけなの？　第9地区の異星人でさえ、見ているうちに仲間気分になれたのに、アバターに出てくる異星人よりは人間に近い姿しているのに、とにかく、なじめない。だんだんドレンに夢中になっていく科学者夫婦にドン引きの私。成長の過程でなにを見せられても一ミリもかわいいと思えなかったよドレン。ずっと、「はやく始末しちゃってくれよ……」と思っていた自分の心の持ちようがもはやホラー。
恐い、というより、やーーーな気分にさせてくれる、そんな映画ですスプライス。リンチのイレイザー・ヘッドとか、ちょっと似ているか……？　でも、あれにはもっと、ファンタジックな要素もあったからなぁ。。。私、特別グロ系がダメなわけではないんですよ。エイリアンとか好きだし、クローネンバーグとかも見るんだけど、とにかく、このスプライスにはイラッとさせられた。。。二回は見たくない。
CUBEも、とてもよくできているホラーだと思ったんだけど、やっぱり二回見る気にはなれなかったんですよねー。なんだろう？　妙にリアルだからなのかなぁ。。。
ホラーって、私の中ではファンタジーよりというか、現実にはない世界の楽しさ、みたいなのがひとつの魅力なんですけど、そういう意味では、この人の作るものはすこし現実的すぎるのかもしれないです。切り口は奇抜なんだけど、テーマが、すごくリアルにつながっている感じがする、しかも、あまり見たくないリアルに_|￣|○。
要注意の監督だなぁ……不用意に見ないようにしないと、精神衛生上よくない。