腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

ヒルズハブアイズ(とサランドラ)

借りよう借りようと思っていて、当初は1がなく、やっとはいった! と思ったら、常に誰かに借りられていた、のでいやおうもなく期待は高まったこの作品。
まず、はじめの「サランドラ」からちゃんと見ましょうと。そのあとリメイクの「ヒルズハブアイズ」を見ましょうと。ちゃんとふたつ一緒に借りましたよ。サランドラはウェス・クレイブン監督だそうで、ちょっと期待しつつ。1977年公開というちょっと古い作品なので、映像技術がいまほど発達していない分、特殊メイクとかは多少子供だましの部分はあるかもしれないと思いましたが、でもね、昔のホラーって、その分、すごくきちんと背景を撮っていたり、こう、地に足のついた演出で見ごたえがあることもあるので、ええ、そういったところを期待もしていたのでした。
で。
うーん。
なんだろうなぁ……。
アメリカのホラーでよくある設定、田舎の、広大な大地のど真ん中でですね、地元民に騙され、車が故障して、助けも呼べずなすすべもなく、ひとりずつ襲われていくっていう、もう、ほんと定番の設定なんですけど、それはいいんです。もはやひとつの型だし、テキサス・チェーンソーなんてその典型的な展開なんだけどほんとまあ、何回見てもオリジナルは怖い。よくできてる。「あんな感じ?」と今回も一応期待をこめて見ていたんですが、なんだろうなー、やっぱちょっと……敵が(笑) 敵が怖くなさすぎた_| ̄|○。
母親の腹を食い破って出てきた、とかゆうすげぇ逸話のモンスターのわりに、ふ、ふつう。単に、山賊とか、原人とか、野蛮な人にしか見えない(笑) いや、だってまず家族だし!(笑) ファミリーとか築いちゃってたら、その時点で怖さ半減だもの。格好も、ふつーに原始人ですし(笑) 「うららー!」と丘の向こうから襲ってくるったって、その走ってくる姿が見えちゃってるんだものなー! 親子で喧嘩とかしちゃうし! 旅人一家にモンスター子供たち懸想するし! なんかもー、つっこみどころ満載すぎて……モンスター家族の母親なんて、見た目完全にオカン。オカンですよ。オカンを倒そうとか思えないですよ。しかもモンスター家族、被害者の飼い犬に襲われてあっさりふたり倒されちゃいますよ。えー、ですよ。あと、無線でさ、おそってるほうとおそわれてるほうとで話とかされちゃうと、もう、協定結べばいいじゃん、お腹が減っているから起こっている問題なので、食べ物お供えしてうまく共存したらいいじゃん、とか思ってしまった。日本ならこれ、普通に「赤鬼と青鬼」みたいにハートフルな展開にすることも可能。
結局、食べるために襲っているので、「食べるためかぁ……それじゃあ、しょーがないよなぁ」という気になってしまったのよ私。食人てだけじゃ怖いと思えなくなりましたよホラー。レクター博士を知った後だとね。。。
こ、これでも昔は「戦慄のホラー!」だったんだなぁ、と思うと、なんていうか、現代の私の感覚がマヒしちゃってるのかな、とちょっぴり己を振り返らざるおえない……いや、ジェイソンを知ってしまったあとにこれを見せられてもなぁ……無理なんだよなぁ……。
つか、やっぱ「なんちゃってテキサス・チェーンソー」なんじゃないの? といろんな類似点を見て考える次第。
一応見るべきところがあるとすれば、情けない日和見主義の婿さんが、娘を助けるために野人張りの狂気をみせるところかなぁと思いますが、それも、終わり方が(笑) 突然画面が真っ赤になって「THE END」て!
テレビの前で「えーーーっ!!!」って叫んだよ私。夜中なのに。と、唐突過ぎたよあまりにも。つか、若干ウケたよ。昔のホラーって、わりとこういう唐突な終わり方するんですよね。余韻ゼロ。「はい、怖かったね、終わり」みたいな、お化け屋敷から昼の遊園地にぽいっと放り出されるみたいな、そういう終わり方(笑)
「いやー、逆に新鮮」と思ったが、もうその日はリメイクを見る気になれずに寝ました。

で。
ヒルズハブアイズ」です。別の監督でリメイクです。こっちは2006年公開だけあって、もう、のっけから違う。核実験とかが持ち出されて、「なるほど、ただの鬼っ子じゃなくて、放射能による突然変異という理屈が加わったわけですね」と私すこし前のめり。防護服を着た調査員がスプラッタな襲われ方をして鎖で引きづられて行くシーンも、スピーディーで垢抜けました。核実験の実際のフィルムも流されて、ちょっとしたメッセージ性まで加わっている。「いいぞ! 期待できる!」と見つづけましたが、えー……と、ですね。そのあとの展開は、やっぱりオリジナルに忠実(笑) 無線が携帯に変わったりはしていたが。そして、モンスターというよりはクリーチャーという感じに造詣の怖さはアップしていたが、でも、やっぱり基本のラインは同じです。クリーチャー一家的には、「だって食べるためだし。俺たちだって生きて行かなきゃいけないし」。しかもそこに、政府によって見捨てられた鉱山。核実験。その町に取り残された人たち。放射能による障害。ちっちゃい子供たちまでいてむしろ可哀想さ加減倍増なんですけどクリーチャー! 戦慄のスプラッタシーンのはずの婿さんとの殺し合いでも、クリーチャーのほうは、なんか手加減してんのかと。あんたならもっと簡単に死止められるだろうと。そのうえ、ルビーというクリーチャー女子は、被害者側の青年に恋をしてしまい、命がけで味方してくれちゃう始末なんです。どうしたらいいんだよぉー (ノ_<。)
前作より残虐度がアップしているのは、まちがいなく被害者側の婿さんです。民主党員で携帯会社やってて銃所持反対だったカレが、一番、血みどろ。情け容赦なく、惨殺(クリーチャーを)。最後に内臓をわしづかみで食べ始めたらどうしようと思いましたが、一応、娘を助け出して大団円で終わってました。

リメイクのほうは全体に、オリジナルだと唐突過ぎた展開とかにわりと丁寧に説明を加えたり伏線をはったりして、納得できるように作り直していました。そして、基本のすじには忠実にできあがっているので、そうですね、リメイクとしては正解なんじゃないでしょうか。どちらかひとつをこれから見るなら、リメイクのほうがいいと思います。
これ、シリーズ化しているというか、さらにヒルズハブアイズ2とかもできているんだが(笑) なにか、人のこころに訴えるところがあるのかなぁ。あの、丘の風景か。私にはいまひとつピンとこないが……つか、なんだかんだいって、みんなあのクリーチャー家族が好きなのかい?
食人の要素がなかったら、アメリカの田舎の典型的な生活って感じなんですよね。家父長制度っていうんですか、お父さんが一番えらくて、それに従う息子たちと家で待っている女達とこども、みたいなね。
しかし日本では、いくら田舎っていったってあんなにしょっちゅう人が失踪していたらバレないとかありえない(笑) ちょっとリアリティなさすぎる(笑) アメリカの、広大さがあってはじめて成り立つ設定ですよねー。ディセントみたときも思った。都会を離れたら、すぐに命がけの冒険になっちゃうような土地がどーんと広がってる。そんな国だからこそできる数々のホラー設定。しかも、そういう場所に行きたがるやつらが多いよアメリカ人(笑)
「なんでわざわざそんな危なげな場所に行く」と、日本なら、おまえら自業自得感が強くなってしまいそうです。なので、どちらかというと、都会の死角、みたいな微妙な違和感とかからはじまるホラーが多くなりますよねジャパン。
や、私は黒沢清みたいなひっそり怖いホラーも好きなので、それはそれでいいと思いますが。リングとかも、なんか美しいし。日本のおばけは、ちょっと切なくて儚いところがいいです。ホラーも草食系の日本(笑)

そういや、私が大好きな「回路」がアメリカでリメイクになってるみたいなんですが……予告見たら……えらい……ざっくりした感じになってしまって(笑) せっかくの黒沢清もこんな肉食な作りになってしまうのか、と肩すかし感ありあり。見たい、ような見たくないような……(笑)
大体、ツタヤで借りられるんだろうか。そこから調べないといけないようです。