腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「桐島 部活やめるってよ」

巷で話題のこの作品も見てみた。
これ、書店で原作が積まれた時に、「おもしろいタイトルだな」と思ってパラ見した記憶があるんです。題名が面白いって、けっこう大事だと思うので、中身も面白いかも、いずれ読んでみよう、と思いつつ忘れていたら映画になっていたのですが。

うん。
フツー。
すくなくとも映画は、フツー、としか思えなかった……。最初から最後まで“不在”の桐島、という生徒をめぐっての人間関係、というか学校社会、みたいなのが描かれているんだけど、うーん、なんだろうなー。ふーん、としか思えなかったな〜。桐島という生徒がなんでこんなにまわりの人間のこころを波立たせるのかもよくわからなかったけど、それだけじゃなく、生徒の人物描写とかもさ、わりと表面的で、一遍通りというか、だれかに特別感情移入するってわけでもなく(笑)
これは、あれかしら。私がもう歳だからですかねぇ(笑)
なにしろ私はヲタなので、立場的にいったら神木隆之介がやっていた映画部の子がちかいような気もするんですが……しかしな、やっぱりなんか、ちょっとちがうんだよな。いろいろあるけど、なんだかんだみんな楽しそうじゃん、っていう? たとえそれが本心ではないにせよ、表面だけでも、そこそこなんとかやってんでしょ? みたいな……。
なんとかならなくなったのは桐島という生徒だけだったみたいですが、その桐島は、結局最後まで出てこないので……なにがなにしてそうなったのかはよくわからんしな。

私が学校というものに持っているイメージって、もっと起伏が激しいので、映画のなかのできごとって、平坦な日常に見えてしまいました(笑) 
原作を読むともうちょっとイメージがちがうのだろうか……これだけだと、結局なんなの? という感じしかしない……つか、学校ってホントにヤなシステムだったな! ということをあらためて思いだし、もう行かなくていいんだ、とほっと胸をなでおろしはしましたが(笑)

唯一、ほわん、という気持ちにさせてくれたのは、野球部のキャプテンかな。あの子はいい子だ (ノ_<。)
あと、神木隆之介が違和感なく高校生にみえていたのはすごかった(笑) 童顔だよね、彼は。
そういやいま「家族ゲーム」でも学生やってるんですよね。あのドラマ……いや……、うん、神木隆之介は、がんばっていると思う。悪気な役もけっこう板についてます。もっと本気で悪役挑戦してみたらいいのにーと思ったよ。

吉田大八監督、私「クヒオ大佐」は堺雅人見たさに観てましたが、そうですね、こっちのほうが面白かったかな。一番存在感があったのは新井浩文ですけど(笑)
“なぜクヒオに次々と女がだまされたのか”
というのは、けっこう世間的にも“???”って感じで語られることが多かったと思いますが、うん、私は、吉田大八監督の解釈には共感しますね。この詐欺の場合、ばかだからだまされた、ってことじゃなくて、だます人とだまされる人、うそを信じてほしい人と信じたい人、お互いの間に共通の幻想が成り立ったから起こったことで、金銭がからむから犯罪になっちゃったけど、そうじゃなければ、やっぱりある種の恋愛みたいなものなんじゃないのーという。
切り口によっては怖い話にもなるだろうけど、映画では、なんか、善悪の判断を持ち出す人とかいなくて、みんなそれぞれの立場があって、それなりに一生懸命で、悪いだけのひともいいだけのひともいないって感じは、すごい居心地がよかった。

そういう意味で行くと、「桐島」もそういう話ではあるんですけどね……ただ、最後のゾンビが屋場で暴れるシーンとか、私はやっぱりカタルシスがないんだよなー。
「そんなことで気がすむの?」
みたいな(笑)
まあ、これは、私の中のすごい個人的な“ナニカ”がそう感じさせているのかもしれないので、なんともいえませんが。

とりあえず、吉田監督、私の中では一勝一引き分けって感じなんで、そのうちほかの作品も見てみようかなーとは思ってマス。