腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「ハル」

これ劇場でけっこう宣伝見せられてですね、ヒューマノイドとの恋愛アニメってことで、「イヴの時間」的なやつを期待して、わくわくしながら見たんですが……。
うん、……期待はずれだった_| ̄|○。
ロボット、あんまり関係なかった(笑)
脚本が木皿泉、「スイカ」というドラマが有名らしいが私は見ていなく、「野ブタをプロデュース。」とか「Q10」とかも、数回、テレビで事故的に見ただけの私は、なぜかエッセイ本みたいなのは読んでいるんですが、まあ、それくらいの知識しかなく。「ドラマ畑のひとなんですね」という薄い印象しかなかったんですが……そうだなぁ、なるほど、アニメっぽくない、悪いイミで邦ドラマっぽい話だった……。

近未来の京都が舞台なんですけど、SF的な要素と古都京都の暮らしぶりがうまく合ってないというか、うん、なんつか、カタログ感覚というのかなぁ……。染物をやっているおじいさんが出てきたりさ、ヒロインがかわいいボタン屋さんやってたりするんだけど、それ話の展開とどんな関係が? みたいな? 女子がよろこびそうなものをとりあえずいれときましょうよ恋愛モノだし、ってこと? いや、そういう枠ならそれはそれで需要があると思うんだけど、そういうふわふわ地に足のついていない空間に、突然、人の生き死にだの、介護だの、闇社会的なものだのをつっこまれると、びっくりしちゃうんだよな。ね、おねがい、もうちょっと背景を説明して? この世界でのロボットの位置づけってどんな感じなの? 町中にあふれているわけでもないんだから高価なものなんですか? “死んだ人間とそっくりに作ってくれ”といって、簡単にできるほど技術が進化した世界なら、日常の生活にもうちょっと未来的なものが出回っていたりはしないんすか。大体、“あなたのために派遣されてきました”とロボットが個人宅にやってくるほど余裕がある社会なのに介護施設にロボットがいないっていったい……。
とかとか、気になりだすとキリがない。
児童が借金のカタに不法就労させられてるとかさぁ、だいじょぶ? 未来の日本。てか、いっそ設定を日本にしないほうがよかったんじゃ……。

いや、そこまで大きいことじゃなくても、たとえばさ、はじめてヒロインと会ったとき、ごはんも喉をとおらなくて眠ることもできないほど精神的にやられている人が、なんであんなお肌つやつやのきらきらお目々で、元気よく走りまわってるんだ、という、そういう些細なことからしてもう、ダメだ、全然ノれねぇ、って感じなんです。まあ、それにはね、一応オチがあるんですけど、でもさ、それだけとってみても、この話の展開にいろいろ無理があるって、わかってほしいなぁ……。もう、オチはね、こういうのを見慣れている人ならすぐ気がついちゃうんですから、それはさ、いいじゃないですか隠さなくても。隠さずに、その病に対する周囲の気遣いとかさ、本人のとまどいとか、葛藤とかを丁寧に描いた方が見応えがあったんじゃないの? ……とか思ったんですけど、そうすると、ふわふわした恋愛ドラマからは遠ざかっていくんだろうな、という気もします。。。ロボットだから押入れってドラえもんか! というつっこみを待っているのだろうか、製作者は。。。べつにしゃれてないし(笑)
マモ☆が演じるワルい友達の唐突さとか、追いかけてくるチンピラのそこだけ妙なギャグテイストとか、もう、バランス悪い。最後だけ急にアクションぽい場面ムリクリいれられても、困る。どういうジャンルのものだと思えば目こぼしできるのだろうか、としばらく考えてしまいました。
これ、ドラマならそういうお約束だと思って見られるのか?
とか、
いっそマンガなら細かいこと気にならないのか?
とか、
考えてみたんですが、うーん……。

ルービックキューブにメッセージが書いてあるとかさ、おしゃれなんだけど、おしゃれすぎて小道具が鼻につく。“ただ、そばにいればいいんじゃない”的なセリフも、なんかそこだけ浮いて聞こえるっつーか、それ、口に出して言っちゃうんだ、っていうかっこわるさ?(笑)
いやもう、私が合わないだけなのかなぁ〜。いろんなところにひっかかっちゃって、ぜんぜん楽しめないんだよな〜。

これ結局、お話のキモは「Colorful」と一緒なんですよね? とは思うんです。自分のことを、他人のような目で見ると、ちがうものが見えてくる。。。でも、自分をリセットってそんなに簡単なことじゃないので、一度死を通り過ぎないと、だめなんだよなっていう、そのための道具仕立てが天使だったりロボットだったりするだけで、大事なのはそこの設定事体ではないんだろうけど、でも、そこをさ、あんまりいい加減にされても、こっちはその世界にはいりこめないし、大体、主人公にさ、共感できないんだよなぁ……ハルがどういう人なのか、最後までよくわからなかったもん。とにかく、言葉にできないような苦労を背負いこんでて、なんだかしらないけど胡桃が好きなんだよね、という、それだけ?(笑) ちょい、かいまみただけでもこっちがひやっとするような闇を抱えていそうな背景なのに、そのへんはさらっと流されて終わりというのも腑におちんのよ。
これがテレビドラマなら、カコイイジャニーズ系の男の子が演じるだけで、ハルがどういう人とか説明要らないでしょ、みんな好きでしょ、ていうか、好きな人しか見ないんだからいいでしょ、とかなるのかな、とイジワルな見方しちゃいます。

時間が短かすぎて説明しきれなかったのかな、とかも考えたんだが、逆に、時間をかけてつくるような内容のものでもないんだよな……と考え直した次第。
イヴの時間」のような面白さを期待するんだったら、同じ監督の「さかさまのパテマ」をみるべきだったのかもしれません。。。残念!