腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「Blue Moon」

ということで、「Blue Moon」も読み返してみました。。。やっぱヘビーな話だった_| ̄|○。
いや、でもね、さすが20代で読んだ頃とは感想もちがってくるってもんです。そりゃそうだよね、主人公よりもむしろ、まわりの大人のほうの立場にならんとする歳ですよ。責める側じゃなくて責められる側ですもはや。。。

こっちはね、仲尾と八角的なふたりがふたごの兄弟になっている。バンドのかわりに詐欺師(笑) なので、「おんなのこ物語」より、暴力度も高くなっているっつーか、犯罪度が増しています。騙し騙され、殴り殴られ、最後は逃げ出して終わり、みたいな、ロードムービーっぽい話の展開。「スーパーナチュラル」から霊的なものを省いたみたいな(笑) いや、さすが少女マンガだけあって、心理描写とかはぐっと深いです。いろんなできごとの合間にふたごの生い立ちや周囲の人たちのドラマとかも描かれて、読み進むうちに全体像が見えていくような構成になってます。

うん、もうさ、よくわかるの。失踪してしまった父親とか、正気でない母親とか、親戚中をたらいまわしにされて、まともな教育も受けていず、戸籍さえない、で、一番安定した里親のもとからさえ逃げ出して、ふたりっきりで放浪の旅をしている……っていう、話の筋道は、すごく丁寧に描かれているし、セリフとかもね、いちいち、もっともですなぁ、と思わされるし、うん、よくできていると思うんですけど、そういう、お話のおもしろさとはまた別に、なんだろうなぁ、私が読んでいて「うーん」と毎回思うのは、「この人たちが、ひとところに落ち着けず、安定した人間関係を築けないのは、果たして生い立ちのせいかしら?」っていう、ことなんですよね。
もうさそれ、性格なんじゃん? ていう(笑)
なら、その生活を楽しめばいいと思うんだが、そのことがこう、悲劇的に描かれているのがなんかなあ、みたいな。。。

新しい土地に来て、人間関係ができて、深くなりそうになるとひと騒動起こしていなくなる、あとには涙に暮れる女の人が……みたいな、なんだろうなぁ、寅さんなのかなぁ(笑) でも寅さんはさ、振られる側だから(笑) そして、帰ってくる場所はいつも家族のところだから。
結局、風来坊な兄が帰ってくる場所は弟の居る場所、なこのお話ですが、最後はね、その弟とさえ別れてしまうのです。
それがね、こう、なんでなの? っていう気分にさせられるんだよなぁ(笑) いろんな問題にカタがついて、普通ならハッピーエンドな場面ですよ。おまえが好きだよ、ほんとに想ってるよ、っていう、超!泣かせるセリフを吐いておきながら失踪って、そりゃ、カッコイイ最後ではあるんだが、非道だよな、っていう(笑)
ふたごのお父さんて、道端で、家財道具と一緒に妻と子供を売りに出すような人なんだが、きみもそれなのか? 血筋か? っていうか、愛するのも憎むのも、イヤだツライ、全部捨ててリセットってしてたら、孤独になるのは仕方ないって気のした結末です。。。遠い空からきみのことを想っているよ、と言われてもな、結局遠くにいるんだろ? と思う私。だってさ、いつなにが起こるかわからないじゃん? ちょっとのつもりが永遠の別れってことだって、あるじゃん。。。

まあ、これを、ふたごの兄弟の話、と思わずに、一人の人のなかに存在しているふたつの側面、みたいな見方をするなら、現実を生きる弟の面とロマンを生きる兄の面として、とらえればいいのかもしれないですけどね。

しかし、アレだよな。この機に、と思って、持っている森脇真末味作品を読み返してみたんですが、最後にいなくなったり、死んだりする話の多いこと。。。犯罪者を扱っている話が多いのでそういう結末になる、というわけでもないような気もします。
森脇さん、この世の道徳とか倫理感とか理性、とかにうんざりしてんのかな(笑)
犯罪者のほうを断然魅力的に描いてしまうあたりが、三池崇史みたい、と思わされました。