腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「シモーヌ」

アンドリュー・ニコルです。これ、ちゃんと劇場で見たんですが、ひさしぶりに見返してみたくなった……というのもだな、最新作だった「The Host」が……いや、うん、期待しすぎだったのかもしれないが、それにしても、アレな内容でだな……というか、前作の「TIME」もイマイチ、こう……ひねりの足りない内容で、わざわざ劇場で見た自分、乙! って感じでしたので、2作つづけてのこの感じにけっこう打ちのめされて、「あれ? もしかして、おもしろかったの“ガタカ”だけってこと、ないよね? すくなくとも“シモーヌ”はおもしろかったよね?」ということで、再度鑑賞。
うん、おもしろかった、少なくとも“シモーヌ”は(笑)
全編わりとギャグっぽくて軽くみられるし、なにしろ、アル・パチーノがさ! やっぱりうまいよね! このお話の内容だと、生身の役者さんがすばらしい演技をしてくれないとさ、テーマが伝わらないよね、と思いました。
私、初見でみたときは、どちらかというとCGによる幻想を肯定している話かと思っていたんだが、いまみるとちょっとちがいました。どんなに技術が発達しても、生身の人間が関わらなければ伝わらないものってあるよね、というお話かな……。
これが作られた当時にくらべたら、いまのほうがはるかにCGが発達していると思いますが、でもさ、人間の役者にCGがとってかわることはない、っていうか、単に棲み分けするだけの話ですよね。CGですむところはそれですませればいいし、でも、それですまないところは人間がやるわけじゃないですか。
この映画だと、金はかかるしうるさい役者を使うより、文句もいわず報酬も要求しないCG役者のほうがはるかに使い勝手がいい、という感じで話がすすんでいきますが、でもさ、CG役者シモーヌから引き出せるのって、結局監督の中にあるモノだけなんだよね。。。なので当然、話がすすむとふたりで心中みたいになってくるんだが、そこに、ウィノナ・ライダーが演じる生身の女優が現われて、その新鮮さというか、他者とふれあうことで生まれるものがあるっていうことに監督が気付く、そこが、なかなかよいシーンでしたよね。
最後に、“シモーヌ”という幻想をつくりつづけることを選ぶわけだけど、でも、それはひとりじゃなくて、家族とか仲間とか、あるいは見ている側の人も含めて、作られる作品なんだ、というオチは、なかなかよかったと思います。
なんかね、全体の印象は「トゥルーマン・ショー」に似ています。あれも、ジム・キャリー含めよい作品でしたが……うーん、こうなってくると、あのころの話の感じと、ここのところの2作品の違いってなんなんだろうな、という気がします……発想はおもしろいんだけど、それを生かしきれてない感じ、そして、役者さんの魅力も足りないんだよな……もともとアンドリュー・ニコルの作品って、若干チープというか(笑) あんまりお金をかけてないけど、その分、演技力とか独特のセンスで乗り切るよ! という感じがあるのでB級なのは織り込み済みなんだけど……いや、「TIME」とかは、逆にB級じゃない感を出そうとしてダメになっているのか……うーん……。「Lord of War」までは、どの作品も面白かったんだけどなぁ……。

いや、地味に追いかけ続けますけど(笑)
次はもうちょっとおもしろくしてほしい_| ̄|○。