腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「朝井リョウ」

の本を読んでみた……とはいっても、「桐島、部活やめるってよ」と「星やどりの声」だけです。「桐島〜」は、映画を見ていたので、そのうち原作を読んでみるか、とは思っていたんですが、先日、テレビで鼎談していた朝井リョウが、なんかちょっとおもしろげな人に見えたので、よし、いよいよ、読んでみますか、と思い腰をあげたんですが、えー、すみません、結果として、読んだといってもちゃんとは読めませんでした。セリフと、なるべく本筋に関係しそうなところだけを拾い読みの飛ばし読みです。いや、もう、なんか、合わなかった……文章が。こう、目が滑って滑って、似たような話し方する高校生が何人も出てきて、名前も覚えられないし見分けもつかないし、セリフの内容もピンとこないっていうか、ピンとくるほど内容のあることを話していないっていう……。
つ、ツライ。
こんなにもツライのか、高校生とのコミュニケーション……と勘違いしそうになりました。
現実では、どうでもいいようなことを話すシーンはそりゃあるだろうけど、それを小説で読まされるこっちの身になってくれ、とマジで。それを“いまの高校生のリアリティ”とか言われてもつきあいきれないんですけど。。。となりました。

学校内カースト制度、とかも、いや、あるだろうけどさ、それは。でも、それを人を変え部活を変え何度も描写されても、「だから?」としかいいようがないっていうか……何人かの視点を出して、こう、学校に漂う閉塞感とか空気感みたいなのを描きたかったのかなぁー、とうっすら思ったりはしたものの、人物描写にあまり深みがないので、学芸会みたいっていうか、役者の仮面を外したら、奥にいたのは全員朝井リョウでしたみたいな……(笑)
最後の章の宏樹とか、は、まだしもちょっとリアリティあるかなっと思ったけど、そのほか、女の子なんかさぁほんと、「えー?」と思いました。できのわるいマンガのキャラみたいに定型だな、っていう……。

たまにちょっと鋭いセリフが書いてあったりもするんだけど、それがつながっていかないっていうか、全体に、散らかっている印象です。。。悪いヤツじゃないんだろうけど、悪いくらいのヤツじゃないと、小説っておもしろくないんだよな……。

で、一緒に用意しておいた「星やどりの声」、こっちも、また何人かの視点で家族のことを描く、っていう、「桐島〜」と同じ形式なんだけど、なんだろうな、朝井リョウは、ひとりの人間の目線から物事をじっくり描くっていうことを、しない人なの? とさらに苦手意識です。私はどちらかというと、深く深く下にもぐっていくみたいな話が好きなんで、次々に話の語り手が変わっていくような形式ってもともと苦手ではあるんだけど、それでもさ、キャラクターにひっかかりがあったり、中心にひとつ、話を展開させるようななにかの筋立てを用意してくれていたりすれば……ひとりでいいから好きになれる人間がいれば……ナイんだよな……。

「桐島〜」よりは、いくぶん文章はよみやすくなっていましたが、それでも、あいかわらず視線があちこちに飛ぶというか、何度も同じフレーズがでてきたりとか、、、ちょっと頭の中身が散らかった人と話をしているみたいな落ち着かない感じに、耐えられませんでした……2章までは一応読んで、とちゅう、すとっととばして最後の章だけ読んだ……ら、もう、ほんと、なんてことのない話だった_| ̄|○。

とんだファミリーファンタジー(笑)

育ち盛りの子どもが6人もいて、一家の大黒柱が死んだら、もうちょっとシビアでヘビーな展開になりそうなもんだよな、と思うんだけど、そういうところは背景にうっすらとぼやけてしまって、ふわふわっとしたおしゃれ喫茶店中心のあったか家族だよ。毒も笑いもひねりもない「11人もいる!」(クドカンのドラマ)を見せられてるみたいだよ、つ、つらい……_| ̄|○。

……ということで、私の中で朝井リョウはしばらく封印(笑)

いま調子が悪いので、そのせいで内容に集中できないのかな、と思ったりもしたんだが、並行して読んでいた「ララピポ」(奥田英朗)は普通におもしろかったので、うん、体調のせいでもないと思いました。
同じような形式の本なのに、断然読みやすいしつづきも気になった……内容は胸に堪えるので二回読みたいとは思わないけど、オチも表題の言葉の意味も効いていたので、読んだ甲斐がありました。

はぁ〜、よかった。朝井リョウのあまりの読めなさに「わたし、バカになった?」とちょっとコワくなっていたので「ララピポ」には救われましたよ、気もち的に。
奥田英朗は「沈黙の町で」と「純平、考え直せ」も読みましたが、うん、どれもおもしろかったです。しばらくは、奥田英朗で行こうかな……。