腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「ゴーンガール」

映画館で予告を見て、「うへっ! おもしろそう!」とずっと気になっていたのにようやく見たこの作品です。
デヴィッド・フィンチャーはさ、複雑な話を上手に見せてくれるよね、とほんといつも思うんですが、今回もそうでした。最初から最後までハラハラドキドキです。てか、ハラハラとドキドキの対象が、途中で二転三転するのがすごい。つかさ、予告を見た時点で、「あ、このだんな(ベン・アフレックです)は奥さんにおとしいれられているのかな」というのは、もう、予測がつくので、そのからくりは、わりとすぐにバラされますが、そのあと、奥さんの視点の話も並行して進んでいくので、事態がどう転んでいくのか、まあ、私はだんな目線で話を追いかけていたので、頭のおかしい奥さんの復讐劇に、なんとかがんばって抵抗して、平和な結末を迎えてくれ、と思いつつ見ていたのですが、もう、意外なオチに「えーーー!」となった。
……なんじゃそりゃ……。
こう、「ワイルドシングス」的なだましだまされ、それとも、「蜘蛛女」か? 「危険な情事」か? どちらにしろ、恐ろしい女の人に、手酷い目にあわされる男の人の話の系譜、サスペンス! と思っていたら、違った……むしろ「Mr.&Mrs. スミス」だった……_| ̄|○。
他人同士が夫婦になるって、けっこう大変なことだ、というの、結婚してから気がつくよね、ということを、こんなに恐ろしい話にしたてあげなくてもよくない?
世間を巻き混んでの、命がけの家庭内闘争。
妻が強すぎて、肉親が味方しようが弁護士がいようがたちうちできない夫。で、こどもをたてにとられたら、逃げだすこともできずに、「しょうがないか」と元鞘にもどるっていう(笑)
あんたの奥さん、殺 人 犯 で す か ら ー ー ー !!
妹に愚痴をこぼしながら、仮面夫婦を演じるって、まあ、それはわりとよくあることなのかもしれないですが、し か し な !
これ、作りようによってはコメディにもなりそうなのに、もう、舞台仕立てが怖すぎて、ホラー。いやもう、ホラーすぎて最後は逆に笑えてきた。枕ぽんぽん、じゃないよ! ベッドに誘われてしどろもどろに言い訳しながら後ずさるベン・アフレックに深く同情。ムリムリムリムリ! と涙目です。それとも、米の男の人にとっては、奥さんてこれくらい怖い存在なんですよ、って言いたいの?(笑) そんなことないよね?(笑)

まあとにかくこの妻のすごいところは、自分も他人もたやすく傷つけることができるということ以上に、世間を熟知していて、それを味方につけて相手に圧力をかけることができるってところなんです。夫のほうは、妻だけでなく世間とも戦わないといけないので、圧倒的に不利。ヘタしたら吊るされる勢い。
妻にとっては本当の自分なんて存在しないので、相手に合わせて変えられるし、嘘をつくのも平気だし、プライドはあるけど良心はないし、周囲に対して完璧な自分を演じられさえすれば、実態なんてどうでもいいので、夫も完璧に役を演じさえしてくれれば、それでいいんだ、という、その理屈に夫が勝てないんだよな……むしろ、調教されちゃうんだよな……。
あの、テレビに映っている自分の夫を見ているときの目が、怖すぎた(笑) 「あれ、コイツ、思っていたよりのびしろがあるんじゃね? イケるんじゃね?」という、あのキラキラした目。好かれた! 嫌われていた時の方がマシだった!(笑)

生まれてくるこどもとか、どうなっちゃうの、という不安も残しつつの結末です。苛められたりしたら、この母親、相手のこどもを家族ごと抹殺したりしない? 今後も順当に被害拡大。

もー、デヴィッド・フィンチャー、ハッピーエンドは「ゲーム」だけか(笑)
や、「ゴーンガール」も見ようによってはハッピーエンドなのかもしれないですけど、映画とはいえそこまで思い切れないなぁ。。。