腐印注意

腐印の 映画 アニメ BL 雑記。おもにネタバレありです。

「家族ゲーム」

なんか、書こうかどうしようか迷ったんだが、ちょっと書いてみる。
まえにも書いたかもしれませんが、私、森田芳光の「家族ゲーム」が大好きでですね、で、テレビっ子だったので、当然長淵剛のドラマ版「家族ゲーム」も欠かさず見たんですよ。ええ、夢中。音楽も含め、松田洋治含め夢中でした。“孤独なハート”いまでもカラオケで歌うヨ! “スローダウン”いまでも聞くと泣けてくるヨ!
そんなわけで今回、櫻井翔、に若干イヤな予感がしつつも、「いやいや、見もしないうちからそんな。神木隆之介だってでているじゃないですか」と、少々及び腰になりつつも見た。
うん、それも、最後まで見た。

バ カ ヤ ロ ー だ な _| ̄|○。

この苦々しさは、アレです。「女王の教室」以来です。それとも「ドッグヴィル」かな? 「ダンサーインザダーク」かな?
観た後あまりに腹立たしいので痛み止めにお気に入りのアニメを見たりBLマンガを読んだりしないと血圧が下がらなかったヨ、あーーー恐い。
ホラー。
もう、ホラーだよね。
つか、私にとってはゾンビのほうがむしろ癒しだよね。

なら、途中でやめればよかったんだろうが、いや、いや、もしかしたら超展開が待っているかもしれない。どうも99パーなさそうだが、もしかしたら神木隆之介がこのグロテスクな世界に突破口を開くかもしれない、と儚い望みをかけてしまった……。ダメっス。ダメダメっス。つーか、もう、お礼の言葉とか述べちゃった時点で画面もまともに見れなかったよね。終わった……洗脳は完了した……。
最後の平和な家庭風景、サムい。サムすぎる。これなら最初の方がむしろ人間らしかったじゃん、と心の底から。

私にとっては櫻井演じる家庭教師のしていることは“暴力”であり“犯罪”なんですけど、目的が美しければ手段は正当化される、というこのひとの理屈に暴力を奮われた側が感化されちゃってるんだもん、まいるよね。
“世界は醜いのだから、その世界で生き残れるように俺がおまえを心も体も傷めつけて強くしてやろう。でも死なない程度だから。キミのためなんだから”
という、こんな理屈が通るなら、すべての体罰もDVもゆるされるってことじゃん?
いやもうほんと、どうかしてるよー。キモチワルイよー。
もうさ、家族がどうとかいう次元を超えてるよ。暴力ってナニか? ということなんですよ。

この脚本家、この問題について真剣に考えているのか? それとも、「女王の教室」っぽい作品を適当にアレンジして家族とかテーマにしといたら視聴率とれるんじゃねー? っていう、釣りなのか? 私釣られてる?

いや、「女王の教室」を見た時にも思ったんですよ。人や状況って、そんなに簡単にコントロールできない。他人を変えられると思うのは幻想ですよ。“更生させた”って、そんな風に思えること自体すごい傲慢だよな、とほんと思うわー。
同じことするんなら、まだ蓮実みたいに“自分の楽しみのため”にやってくれてたほうが納得できるよ。長淵も竹刀ふりまわしてたけどさー、あれはべつに生徒のためとかじゃなくて、単に自分がそういうやり方好きなだけっていう感じだったもん。
涙を流しながら、オレはキミのために悪役になるんです、暴力ふるうんですって、それ誰のためにもなってない死! ビョーキだ死!

あーこわい。むしろ私が知りたいのは、この家庭教師みたいなおっそろしい思いこみからどうやったら身を守れるかってことなのよ。神木隆之介演じる長男は、この家庭教師と考え方を同じくすることで自分を守ったみたいですが。

「es」とか見てもわかるけど、人は、暴力とか痛みとか不安とかに簡単に支配されてしまう。それは生存本能がそうさせるのであって、個人的に強い弱いとか、慣れてる慣れてないとか、そういう問題じゃないと思うんだよね。強い圧力がかかったら、ふだん意識していない恐ろしいシステムが動き出すんであって、本来は、圧力がかからないようにみんなで智恵を出し合うのが理性とか知性ってもんじゃないのーと(そのための法律だろ)。

まずこの家庭教師は、そんなに自分の家族観に自信があるんなら他人の家族に首をつっこんでないで、自分が理想の家庭をつくればいいんじゃないですか?理想の奥さんもらって理想の子供育てたら?
人のゲームに茶々いれてないで、自分がプレイしろよ、という話。

もーほんと、「家族ゲーム」という題名がついていたことが詐欺みたいな話ですわ。「大王の教室」とか「家庭教師のヨシモト」とかつけといてくれれば見なかったのに。
よかったのは音楽だけだった、のこの作品でした。

だが、神木隆之介はがんばってた……。うん、それは認める。